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     ここは新潟でボードゲームを楽しむ人達のための集会所です。

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 将棋や囲碁、海外ですとそれは主にチェスとかになるのでしょうか、いわゆる「対戦型」と呼ばれる1対1の作品に比べて、一般的なドイツゲームは3人以上のプレイヤーを対象としているケースが多く、またそれが1つの大きな(魅力的な)特徴でもあるのですが、ある作品が複数人で遊ばれることを前提とした場合、ごくまれに「適正人数」という概念が発生します。

 いわく、この作品に関しては「3人プレイが望ましい」とか、「最低でも4人以上でのプレイを推奨」とか、箱の表示には○人~○人までと記載されていても、実際には必ずしもそこまでの幅が無かったりするケースがあります。

 例えば、3すくみの状態が非常に歪な状況を生む作品。具体的には一方のプレイヤーが他方のプレイヤーを攻撃した場合(あるいは積極的に行動したような場合)に、残りのプレイヤーが漁夫の利的に大きなアドバンテージを得てしまうようなケースは、結果としてお互いに激しく牽制しあうような環境となってしまい、バランスが悪いと評価されるケースがあります。

 また、良くある別の例としては、人数が少数の場合にプレイヤーの自由度があまりにも高すぎた結果、非常に大味な展開や運ゲームになってしまうケースや、逆に人数が多すぎた場合に、プレイヤー間のインタラクションが煩雑すぎて、これまたゲーム本来のポテンシャルが引き出されないケースなどもあります。

 もちろん箱にプレイ人数を記載するわけですから、ある程度のテストプレイが重ねられた上でのそれだということは当然なのですが、中には「単にその人数でプレイできる(可能)」というシンプルな意味しか込められておらず、実際にはその人数でのプレイでは、あまり作品の面白さを堪能することができないという事実が存在する場合があります。

 そうすると、では一体どんな問題が生ずるのか。

 まず最初に考えられるのは

「適正人数でのプレイに拘るプレイヤーが現れる」

 というものが挙げられるでしょう。

 それまでのレビューや巷での評判等から、「この作品はもう○人プレイ専用ゲーム」という固定概念に縛られるプレイヤーが現れる結果、それ以外の人数でのセッションの成立する可能性が激減するケースが考えられます。各種のオープンな例会等である作品にリクエストがかかった場合、仮に4人のプレイヤーがプレイの希望を出しても、それが3人プレイや5人プレイを推奨する作品であった場合に、適正人数ではないからという理由でそのセッションが成立しないケースも考えられます。

 私個人の意見としては、「適正な人数(と思われるもの)」を事前に告知することは、決して悪いことであるとは考えておりません。むしろ楽しいセッションを成立させるためには非常に有用な情報であるとすら思います。しかしその一方で、適正人数でないからといって1つの作品のセッションを不成立にするということが正しいことかどうかに関しては、ケースバイケースで判断すべき事項だと思います。

 その時のメンバーの状況、他の候補作との比較等も含めて、その作品が○人までプレイ可能であるのであれば、その「~まで可能」という部分を尊重するというのも1つの方法ですし、また逆に思い切って尊重しないのも1つの方法だと思います。いずれにせよ一番重要なのは「適正人数じゃないからきっとつまらないだろう」という安易なフィルター(先入観)を最初からかけるべきではないということでしょうね。

 次に考えられるのは

「適正人数以外でのプレイのみで終わってしまう」

 というものです。

 昨今のノンリプレイ主義の蔓延に伴って、最初のプレイが実は適正と言われる人数でのセッションではなかったような場合。その作品に対する印象があまり良くないまま記憶に残ってしまった結果、早々に「この作品はあまり面白くない」という結論に到達してしまって、そのままリプレイの可能性が閉ざされてしまうケースが考えられます。

 不思議なことにドイツゲームというものは実に様々な表情を持ってます。その時の面子、(精神面も含めた)体調、あるいはロケーションみたいなものも含めて、同じセッションは2つとありません。そのどれもに独自の面白さが必ず存在し、我々ファンを魅了し続けます。

 そしてその表情の変化の1つに、プレイ人数の変化も挙げられるわけです。実際にプレイ人数が変わっただけで面白さが劇的に増すような作品に、私自身過去に何度も遭遇してきました(たまぁ~に運悪く逆のケースもありますけどね^^;)。

 普段多くの作品に触れていると、たまに「これはちょっとどうなんだろう?」という作品に遭遇することがありますが、そういう場合には、私はまず「もしプレイ人数が変化した場合どうだろうか?」ということを真っ先に想像するようにしてます。

 よく「1つの作品をどれだけ遊んだら元を取ったことになるか」という質問がありますが、私は(あくまでも1つの基準として)「箱に書かれているプレイ可能人数の回数だけ回したら1順目」というように答えるようにしてます。つまり2~4人までというのであれば2人プレイで1回、3人プレイで1回、4人プレイで1回の合計「3回」ということですね。なかなかこれは時間的にも厳しい縛りなのですが、やはりそこまでして初めて「元が取れている」。あるいは「正しくその作品に触れられている」といえるのではないでしょうか。

 最後に

「レビューの不確定性」

 というのも挙げておきたいです。

 今まで述べてきたように、ドイツゲームはプレイする人数によって時に大きく表情を変えることがあります。ですから、ある作品に対してプレイレポート(あるいは個人的な評価等)を寄せる場合には、「何人でプレイした上でのもの」であるのかは、これは是非載せていただきたい項目といえるでしょうね。

 むしろその情報を抜きにしたものに関しては、これはもう片手落ちに近いものといっても良いでしょう。単に「面白かった」、あるいは「つまらなかった」という情報のみでも、もちろん有用は有用ですけど、はたして本当にその情報を参考にして良いものかどうかに関しては、私はその精度は決して高くない可能性があると思うわけです。

 逆にいえば、「もしこれが○人プレイだったら・・・」みたいな感じで、実際に行われた過去のセッションと比較しながら、(人数面での変化に伴う)感想が書かれているような記事は、これは実に読み応えのあるものです。また普段では考えられないような人数でのプレイのレポートとかにも大きな魅力を感じます。

※余談ですが、私自身の大まかな基準では、プレイ人数は少なくなればなるほど作品の魅力は増すというものがあります(もちろんそれに該当しない場合も多々あります)。ですので、大人数でのプレイで面白かったという感想が挙げられた作品に関しては、私の中では注目度のプラス修正がかかる感じです(笑)。

 是非ボードゲームにおける「プレイ人数」という概念。それに関して必然的に生じる「適正」という部分には、是非皆さん意識的に注目をしてみてください。そうすることでまた1つ、新たに違った角度から作品を眺められることになるはずですから。byタカハシ
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