ここは新潟でボードゲームを楽しむ人達のための集会所です。

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 先日雑誌「Cut」4月号でとても面白い特集記事を見ました。タイトルは「アカデミー賞は本当に偉いのか?」。過去アカデミー賞を受賞した作品が、本当に受賞すべき作品だったのかどうかについて延々とコメントされていて、その内容に関しては賛同する部分もあれば、納得できない部分もあったのですが、最後までとても面白く読めました。

 ということで、それをボードゲームでやってみてはどうかなと思い、その雑誌の手法を拝借させていただきつつ、独断と偏見で過去10年の年間ゲーム大賞作品について、受賞の是非をコメントしてみました。懐かしいタイトルを1つ1つ思い浮かべながら、当時のボドゲシーンを思い出しつつ、偏屈映画コメンテイター風に頑張ってみました^^;

2001年
『カルカソンヌ』

他のノミネ-ト作品
『アムレット』、『ザップゼラップ』

どんなゲ-ム?
 タイルをめくって、絵合わせをしながら得点を重ねていく作品。一見ただの「引き運ゲ-」にみえるが、実際はかなり戦略性のある作品で、繰り返し遊ぶごとにどんどん面白さがわかってくる傑作。

勝因は?
 審査基準が大幅に「ファミリ-志向」へシフトした。ダブルクラウン(同年の「ドイツゲ-ム賞」も受賞)するほど、下馬評から突出していたため、最終ノミネ-ト作品の他2作品は、もはやどうでもよい作品だった。

勝つべきだったのか?
 ざっと見渡しても、この年この作品に勝てる作品は見当たらない。『アムレット』は長過ぎ、『ザップゼラップ』は子供向け過ぎだった。フリ-クならあるいは『ジェノバの商人』かもしれないが、前述のとおりこの年(以降)はフリ-ク向けは全く評価されない空気が流れている。『カルタヘナ』も、『ロイヤルタ-フ』もパンチ力不足。『ブクブク』は良かったが、いかんせんカ-ドゲ-ムだった。

今、遊ぶべきか?
 もちろん。今更感が強過ぎて多くのゲ-マ-から再プレイを拒否されているが、今一度手に取る価値は十分ある。最初のとっつきにくさを抜ければ夢中で遊べる作品といえよう。もっともフリ-クなら『カルカソンヌ2』か『契約の箱』を選ぶだろうがw

2002年
『ヴィラパレッティ』

他のノミネ-ト作品
『プエルトリコ』、『トランスアメリカ』

どんなゲ-ム?
 一言でいえば、高級『ジェンガ』。特定の柱を抜いて上に乗せる。造形の美しさは見事だが、バランスゲ-ム以外のなにものでもない作品。不安定さは至ってシュール!

勝因は?
 これはまさしく前年より始まった「ファミリ-志向」以外の何物でもない。受賞のアナウンスの瞬間、誰もが「子供ゲ-ム大賞」の間違いなんじゃないか?と驚いた。

勝つべきだったのか?
 ノ-。いくらなんでもここまで極端に「ファミリ-志向」を押し出す必要はない。偉大な『プエルトリコ』を蹴落とすにはここまでやらないとダメだったのだろうが、それなら『バケツ崩し』、『ブロックス』など他にいくらでも候補があっただろう。残念ながら『トランスアメリカ』は箱が小さすぎた。あれがコスモスサイズだったなら文句なしで受賞していたに違いない(爆)。

今、遊ぶべきか?
 子供向けとして遊ぶならば優秀なスペックを持つが、あなたは決して子供ではないはずだ。勢い余ってテ-ブルから転げ落ちたパ-ツを喜んで探せる人であれば楽しめるだろう。

2003年
『アルハンブラ』

他のノミネ-ト作品
『クランス』、『ドラゴン島』

どんなゲ-ム?
 『シュティムトソ-』という買い物ゲ-ムをリメイクした作品。購入したタイルを組み合わせて各々の庭園を復元していくという過程が、実にドイツゲ-ムらしい雰囲気のある作品。

勝因は?
 前年の失態から多少立ち直りを見せるべく、若干フリ-ク向けに選考基準を戻したことで、重厚な雰囲気を持つこの作品が選ばれた。リメイク作品が大賞を取るのは意外だったが、終わってみれば順当な評価だった。

勝つべきだったのか?
 難しい所だが、最終ノミネ-トの中では抜きんでている。むしろ『コロレット』や同じリメイクの『宝石商』あたりが対抗馬なら面白かった。個人的にこの年は『アメン・ラ-』と『アルハンブラ』、それに『レーヴェンヘルツ』の年だったと思う。フリ-ク目線からなら多くのマニアが『アメン・ラ-』こそ真に獲るべき作品だったというだろう。

今、遊ぶべきか?
 イエス!中毒性はなくとも十分楽しい時間を過ごせる作品だ。なにより自分の庭が広がっていくのはプレイしていて楽しい。素直に「賞を信じて買って良かった♪」と思える作品だろう。

2004年
『乗車券』

他のノミネ-ト作品
『墓場の吸血鬼』、『頭脳絶好調』、『マハラジャ』、『サンクトペテルブルグ』

どんなゲ-ム?
 アラン・ム-ンの最高傑作にして代表作になった鉄道ゲ-ムの名作。ハンドマネ-ジメントと陣取り、目的達成という要素が見事に結集した作品。後続のシリ-ズが次々と発売され、一大ブームになった。

勝因は?
 これぞまさしく年間ゲ-ム大賞といえる作品。テ-マ、難易度、プレイ時間のバランスが非常に良かった。木製ではなくプラスチックの駒が違和感なく受け入れられた点も勝因の1つ。

勝つべきだったのか?
 実はこの年は非常に豊作の年だった。『頭脳絶好調』は不振が続いたクニツィア起死回生の傑作だったし、『サンクトペテルブルグ』に至っては、恐ろしいほどの中毒性で一世を風靡した。それ以外にもドイツゲ-ム賞には『ゴア』をはじめとした錚々たるラインナップが続いている。その中で最終的にこの作品が選ばれた意義はとても大きい。ト-タル的に見てこの作品の完成度が非常に高かった証拠といえる。受賞は当然だろう。

今、遊ぶべきか?
 むろん遊ぶべきだ。まだ遊んでいないならドイツゲ-ムファンは名乗れない。もっともこれほど後続のシリ-ズが発売された今となっては、初代の『乗車券』は多少味気ないかもしれない。良い拡張が出ているのでそれらを利用すると良いだろう。

2005年
『ナイアガラ』

他のノミネ-ト作品
『ヒマラヤ』、『80日間世界一周』、『ジャンボ』、『勝利への道』

どんなゲーム?
 外箱自体をボードの一部として利用したものすごくインパクトの強い作品。滝つぼに落ちないようにカヌーを漕いで宝石を集めるアクションポイント性のシステムで、実はガチガチのバッティング&パズルゲ-ム。

勝因は?
 圧倒的なコンポ-ネント。カヌーが無残にも滝つぼに落ちる様は実にすばらしい。いかにもファミリ-向けの作品と思われがちだが、意外に戦略性が高い部分も評価されたのだろう。

勝つべきだったのか?
 最終候補に残った作品の中ではという意味ならば、イエスだろう。『ヒマラヤ』はリメイク作品ながら非常に良くできていたがいかんせんフリ-ク向け過ぎ、『80日間世界一周』はまだリーネックの才能が開花しきっていないし、『ジャンボ』はカードゲ-ム兼対戦ゲ-ムだった。唯一の対抗馬らしいところの『勝利への道』はクラマ-&キ-スリングの名コンビならではの佳作だったが、『ナイアガラ』に比べてあまりにも地味すぎた。最終候補以外ならばこの年は『電力会社(新版)』1択の年。はるかにこちらが格上だ。

今、遊ぶべきか?
 あなたが冒険映画好きならば、かなりノリノリで楽しめるだろう。基本パズルゲ-ムなので最後ダラダラと長考しだすフリ-ク野郎とは絶対に遊ばないのも鉄則だ(笑)。

2006年
『郵便馬車』

他のノミネ-ト作品
『海賊組合』、『ローマ水道』、『ジャスト4ファン』、『ブル-ム-ンシティ』

どんなゲ-ム?
 ドイツに自分の郵便網を張り巡らしていく作品。ハンドマネ-ジメントと陣取りがメインの結構古臭いシステムを搭載しているが、プレイ感自体はさほど重くなく収束性も良い秀作。

勝因は?
 『プエルトリコ』で大賞を取れなかったザイファルトに対する、審査員たちの罪滅ぼし(爆)。不作の年というのも幸いした。

勝つべきだったのか?
 (後のセ-ルス実績を加味した上で)イエス。ただし他の候補が地味すぎて、結局押し出された形で受賞した感は否めない。むしろ推薦リストにあった『おい!それは俺の魚だぜ!』とかの方がシンプルで魅力的な作品だった。この年になるともはや『ケイラス』が受賞しないのは既定路線(爆)。それでも『ハチエンダ』くらいは最終候補に入れるべきだった。

今、遊ぶべきか?
 他人にあまり干渉されずにセコセコ遊びたい人は楽しめるだろう。カ-ドのめくり運に勝敗を左右されても文句を言わない度量があればなおよし!

2007年
『ズーロレット』

他のノミネ-ト作品
『バグダットの盗賊』、『テーベの東』、『アルカディアの建築士』、『イスファハン』

どんなゲ-ム?
 名作『コロレット』を大胆にボ-ドゲ-ム化した作品。色々と要素を増やしてボリュ-ム感を持たせたが、原作の切れ味を損ねたという評価が相次ぎ、マニア達にはあまり見向きされなかった。

勝因は?
 M・シャハトへの功労賞(笑)。箱が大きかった&パンダの絵がかわいかった(実は目は怖かったのだがw)。

勝つべきだったのか?
 ノ-。どう贔屓目に見ても、最終候補の中では4番手、5番手の作品だった。『テーベの東』の時間を用いたアクションポイントという新しい着眼点は素晴らしく、テ-マや雰囲気などを考えてもこの作品こそが受賞すべきだったし、『アルカディアの建築士』の完成度、『イスファハン』のバランスの良さの方が断然光っていた。さらにいえば推薦リストの『インペリアル』、『ヴァイキング』、『ノートルダム』、『大聖堂』の上にくる(きてよい)作品ですらないだろう。

今、遊ぶべきか?
 『コロレット』を遊ぶ方が時間的にも精神的にも有意義だろう。どうしてもというならば姉妹品の『アクアレット』も一緒に購入して『メガレット』を遊ぶべきだ(笑)。

2008年
『ケルト』

他のノミネ-ト作品
『ズライカ』、『魔法にかかったみたい』、『ブロックス』、『スト-ンエイジ』

どんなゲ-ム?
 クニツィアの対戦型カ-ドゲームの傑作『ロストシティ』をボードゲ-ム化した作品。4人まで遊べるように若干のルール変更を加え、またファミリ-でも遊べるように仕上げている。

勝因は?
 R・クニツィアへの功労賞(爆)。2年連続で名デザイナ-への敬意が払われた。「デカい箱」というトレンドを抑え、クニツィアが遂に年間ゲ-ム賞デザイナーに輝いた。

勝つべきだったのか?
 『アグリコラ』をノミネートから外した時点で、年間ゲ-ム大賞自体もうどうでも良い流れになっており、それなら今年はクニツィアに功労賞でいんじゃね?的な空気になった(笑)。正直これに勝る対抗馬らしい対抗馬もないし、最終ノミネ-トの中では無難な選択だろう。『ズライカ』は楽しさをプレイヤ-側に丸投げしすぎだし、『魔法にかかったみたい』はカードゲ-ム。『ブロックス』は地味すぎたし、『スト-ンエイジ』はファミリ-が遊ぶにはダルすぎた。

今、遊ぶべきか?
 『ロストシティ』を持っていない。あるいは二人っきりでゲ-ムを遊ぶのは照れるゼ・・・なんてシャイな人にはオススメ♪

2009年
『ドミニオン』

他のノミネ-ト作品
『フィット』、『フィンカ』、『ファウナ』、『パンデミック』

どんなゲーム?
 「デッキ構築型」というカードゲ-ムの1大ブ-ムを作り上げたとんでもない作品。世界中で爆発的に売れ、日本でも大流行。カ-ドゲ-ムは大賞を取れないというジンクスを破った。

勝因は?
 圧倒的なセ-ルス実績。全く新しいシステムの構築。一連のカ-ドゲ-ムブ-ムを決定的にしたという意味で、ついに審査員たちはカ-ドゲ-ムに大賞を与えた。

勝つべきだったのか?
 「ボード」ゲ-ムファンとしては、正直に言えばノ-である。しかし、ここまではっきりと結果を示されれば、認めざるを得ない部分は多い。私自身も実際一時期夢中で遊んだ。最終候補の中でかろうじて戦えるのは『パンデミック』くらいだろうか?「協力型ゲ-ム」が大賞を取るのを見たかった気もするが、いかんせんテ-マが暗かった。『ドミニオン』は世界中のゲ-ム賞を総なめ。まさに旋風が吹き荒れた年といえる。

今、遊ぶべきか?
 人がアホみたいにゲ-ムにはまっている姿を見るのが苦にならないならオススメ。中毒性高し。拡張が出過ぎているが基本セット+1、2個で十分遊べる(基本セットだけでも可)。

2010年
『ディクシット』

他のノミネ-ト作品
『アイデンテイク』、『アラカルト』、『ロール・スル-ザ・エイジ』、『フレスコ』

どんなゲーム?
 パ-ティゲ-ムの傑作『アップルトゥアップル』を「文字(単語)」ではなく「イラスト」にしたような作品。フランス産ということで、純粋なドイツゲ-ム以外が受賞するという珍しい結果に。

勝因は?
 審査員達が「ファミリ-向け」という枠の中で新しいポテンシャルに惹かれ始めていた。もしポーンマ-クをつけた場合、一番セ-ルスが見込めそうな作品だった。

勝つべきだったのか?
 最終候補の中では事前の予想が比較的容易だった。そういう意味ではイエスなのだろう。ただ、もはや「これが年間ゲ-ム大賞なんだよ!」と、自信を持って人に勧められるような感じではなくなりつつあるように思えて、個人的には非常に残念な選出だった。もし時計の針を10年前に戻せるなら、推薦リスト止まりだった『ハンザテウトニカ』こそ受賞に相応しい。原点懐古的な意味も込めてこの作品に賞を与えても良かったとすら思うが、もはや重厚なフリ-クゲ-ム偏従主義へは戻らないという審査員達の意思表明なのだろう。

今、遊ぶべきか?
 わざわざこの作品を持ち出して遊ぶというシチュエ-ションがなかなか思い浮かばないが、パーティゲ-ムとしてのスペックはきちんとあるのでとりあえず遊んでみて損はない。

 ということで、10年一昔とは良く言ったものですね。今年はフリーク向けのブラックポーンを用意するといっている年間ゲーム大賞。正直方向性を見失っているとしか思えませんが^^;

 まぁ世界で一番信頼の置けるボードゲームプライズ(世間一般的には!?)ということで、これからも多くのファンが毎年受賞作に注目することは間違いないでしょう。今年ももうまもなくノミネートが発表ですね。はたしてどんな作品が栄冠に輝くのか、楽しみです♪byタカハシ
コメント
この記事へのコメント
はじめまして。ネットでこちらのページへのリンクがあり拝見させていただきました。
2002年の項について、「大賞に選ばれるべきは○○だった」という意見はあろうかと思いますが、
ヴィラパレッティについて、落ちたパーツを嬉々として探せる人なら楽しめるという煽りは、このゲームを楽しんでいる者として非常に不愉快でした。不必要であると思われます。
また、「高級なジェンガ」というひと言だけの評価もこのゲームの本質を理解しているのか疑わしく感じます。
このゲームを実際にプレイされたことはあるのでしょうか?
2011/04/26(火) 10:28 | URL | セコ #-[ 編集]
こんにちわ
セコさんこんにちわ

> 2002年の項について、「大賞に選ばれるべきは○○だった」という意見はあろうかと思いますが、
> ヴィラパレッティについて、落ちたパーツを嬉々として探せる人なら楽しめるという煽りは、このゲームを楽しんでいる者として非常に不愉快でした。不必要であると思われます。

まぁ半分以上ネタなので、不快な思いをさせて申し訳ないと思いますが、その辺はどうか理解してください。こういう評価は人それぞれなので、例えば私が面白いとか、くだらないとかいっても、セコさん御自身が面白いと思っていてくださればそれがその作品の(セコさんにとっての)真実だと思います。

> また、「高級なジェンガ」というひと言だけの評価もこのゲームの本質を理解しているのか疑わしく感じます。
> このゲームを実際にプレイされたことはあるのでしょうか?

はい、何度かプレイしました。大人相手にも子供相手にも。私自身の精神年齢が幼いせいか、いずれも楽しめました。
2011/04/26(火) 13:10 | URL | タカハシ #-[ 編集]
こめんと
これだけの力作ポストに、
言いがかりのようなコメントひとつしかつかないのは残念です。

というわけで、時期外れ甚だしいですが(まあ速報性だけがblogの特徴ではないですし)、
たいへんおもしろく読ませていただきました。他のブロガーさんもパクればいいのに。
2013/04/28(日) 19:47 | URL | いとう #-[ 編集]
お褒めの言葉感謝いたします。
いとうさんこんにちわ。

また懐かしい記事を掘り起こしてくださりありがとうございます^^;

もともとがパクリネタですので、おっしゃるようにどんどんパクっていただきたい内容なのですが、そうですねぇ、今度は2011~2020までの総括をやってくれるような方がおられたら嬉しいですね。
2013/04/30(火) 08:27 | URL | タカハシ #-[ 編集]
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