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     ここは新潟でボードゲームを楽しむ人達のための集会所です。

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今年はコロナという前代未聞の状況が発生したため数多くのボードゲーム会の開催が自粛されました。また一部再開された今現在も、どうしても密という状況を発生しやすいということから参加者自ら自粛を継続される方が多いのが現状です。私自身も今年度はほとんどオープンなゲーム会への参加はせず、また仲間内でのクローズドのゲーム会も感染の状況によっては直前で自粛したりという対応をしてました。そんな激動の1年(半年)が経過した今年のボードゲームシーンですが、こういう年に限って今年は近年まれに見る良ゲームが集結した年でもありました。近年日本語化などの一般化により、海外での発表ベースではなく日本国内流通ベースでいわゆる『年度』を考えるようになってきましたが、まさしく本年度は当たり年中の当たり年、数少ないゲーム会の中で毎回非常に楽しく遊ばせて頂きました。byタカハシ

第1位:アンダーウォーターシティズ

アンダーウォーターザシティ本年度のマイベストはさんざん悩みましたがこちらの作品です。他の作品もあまりにも面白かったので、本当にこの作品が今年の一番かどうかは全く自信がありませんが(笑)、やはり個人的に一番面白かったのはこの作品でした。作品のテーマとシステム、コンポーネントの良さ、戦略の豊かさと簡略性、全てのバランスがうまく取れた作品だったと思います。非常に多くの重量級ゲームの面白いと言われるシステムをギュっと詰め込んだ作品で、確かにハッとするような目新しさはないのですがその詰込みのバランスがとても上手く、非常に高度な次元でまとめ上げられている作品といえるでしょう。末永く遊べること間違いなしの傑作だと思います。


第2位:バラージ

バラージ第2位は一転して今度は超重量級ともいえるこちらの作品です。おそらく作品としてのポテンシャルや面白さは1位の作品より上だと確信してますが、なかなかそのポテンシャルを感じるためにはプレイヤーに求める錬度の要求が高く、ある程度ゲーム慣れしたプレイヤーでも初見で正解の1手を打ち続けることはまず不可能といえるでしょう。それくらい難解かつ重厚な作品なのですがその分作品自体の深度は深く、一度はまればもう底なしに楽しめることは間違いありません。テーマや世界観も独特で、混沌形とも呼べるその複雑さは決して万人受けはしないだろうということでの2位ですが、これはフリークなら絶対に避けては通れない作品でしょうね。


第3位:ブラス~バーミンガム~

白ブラス第3位はマーチン・ワレスの代表作にして名作でもある『ブラス』のシステムを継承したこちらの作品です。新MAPに加え新しい要素を追加したので少し複雑にはなってますが一部ルールの改良・修正にともない全体のバランスがぐっと良くなっているので過去の『ブラス』を遊び倒したプレイヤーでも新しい刺激を感じることができますし、またこちらが初めての『ブラス』というプレイヤーにももちろんたくさんの満足度を提供できることでしょう。2020年10月末日現在、BGGランキング上で実質的な世界ナンバー1ボードゲーム(上位2つは少し特殊な作品なので)に輝いているだけはありますね。一家に一台置くなら間違いなくこちらの作品でしょう。


第4位:ザ・クルー

ザ・クルー第4位は今年度の年間ゲーム賞にも輝いたこちらの作品です。いわゆる『トリックテイキングゲーム』の基本中の基本形の作品ですが、まさに目から鱗というか、『ミッションクリア』という概念と絡ませてプレイヤー同士の協力ゲームに仕上げたことで、今までにはない全く新しい面白さ・プレイ感覚をプレイヤーに提供してくれました。この面白さは同じ協力型カードゲームの傑作と呼ばれる『花火』に通じるものがりますが、プレイ感覚やその奥深さはこちらの作品の方がさらに上回っていると言えます。『トリックテイキングゲーム』の面白さのポイントをシンプルに感じ取れる入門としても最適で、初心者からベテランまで幅広く楽しめる作品といえるでしょう。


第5位:エバーデール

エバーデール第5位は海外でのリリースは2年ほど前だったのですが、日本での正式リリースは今年度ということで、日本語化を待ちに待っていた方も多かったこちらの作品を選んでみました。いわゆるカードを使った拡大系の作品なんですが、コンボ要素とかがふんだんにあって非常にプレイしていて楽しい作品でした。ワーカプレイスメントなので直接的な攻撃も少なく、テーマもほのぼのとしているのと、なんといってもプレイヤー間でプレイする季節が違うという独特の進行をするシステムなので、マイペースにゲームに没頭できるのがある意味で新鮮で良かったです。海外での評価が非常に高い作品だったのですがその評価に違わない素晴らしい作品でした。


第6位:マラカイボ

マラカイボ第6位はおそらく近年最高のボードゲームデザイナーの呼び声が高いアレクサンダー・フィスターの新作だったこちらの作品です。あらかじめ言っておきますがこちらの作品は非常に面白いです。普通なら本ランキングでも1位を争う作品だったかもしれません。それくらい全てのシステムが計算されて作られています。では何故6位なのか?それはフィスターの新作にしては新鮮味がなかった。この1点だけです。フィスターの作品はもう料理でいえばミシュラン3星の名店の看板メニューです。ミシュラン3星ならただ単に美味しいだけでは済まされないのが3星の定めでもあります。フィスターの新作ならもう1味特殊な新鮮味が欲しかったですね。


第7位:マルコポーロⅡ

マルコポーロ2第7位はこちらの作品です。私自身特定の作品の続編はあまり好みではありませんが、今回は様々な理由でこちらの作品を高く評価しました。1つ1つを細かく説明する余裕はないので端的にいえば、傑作と呼ばれた前作の中でもわずかに残る不満点(決してそれは不満点ではないのかもしれませんが作品の敷居が高いと思わせるに十分な点)を見事に改善していると思ったからです。その面白さに反比例して非常に複雑だった前作に比べ全体的にマイルドになったというかバランスが緩やかになり、その面白さがダイレクトにプレイヤーに伝わりやすくなったと感じました。個人的には前作のピーキーなバランスは嫌いではありませんが、多くの方に勧めるならこちらの作品に軍配が上がるでしょう。


第8位:スパイシー

スパイシー第8位は毎年1番のライトゲーム枠(笑)。今年は文句なしでこちらの作品ですね。いわゆるトランプの『ダウト』の完成形ともいえるこちらの作品は今年度の隠れた名作だと思います。何といっても猫たちがスパイスを出し合うというシュールなシチュエーションが面白く、ともすると単純でつまらないと思われるルール・内容なのですが、プレイの最中には語尾に『ニャア』を必ず付けること!というハウスルールを付加するだけで一瞬で最強のパーティーゲームに早変わりします。特に女性とプレイするとその女性のプレイヤーのかわいさは当社比2倍以上は間違いありません(爆)。年末年始の主役級ゲームにすらなれるこちらの作品、是非お勧めです!


第9位:クリプティッド

クリプティッド第9位は本年度一番美しいシステムだと感じたこちらの作品です。数学的に非常に良く計算されているシステムと、UMA探索というテーマとの融合性、パズルチックな作品であるにもかかわらず単純明快なルールは繰り返し遊びたくなる要素も満載で、この手の作品が好みの方にしてみたらまさに得難いプレイ体験になること間違いなしです。日本国内での正式流通のロット数が極端に少なかったのがもったいないくらいの傑作だと思います。再販の予定は今のところなさそうですが、一応ネット上に有志のルール役が落ちているそうなので未所持の方は思い切って個人輸入で入手を検討されても良いかもしれません。決して後悔はしない面白さです。


第10位:バビロニア

バビロニア最後は近年ライト級と重量級の2極化が進むボードゲーム界においてある意味一番求められている中量級の作品の中から今年度一番満足度の高かった作品を選んでみました。名匠クニツィア博士によるこちらの作品です。正直申し上げれば同じようなシステムの博士の作品を過去に遊んだような記憶が浮かんでくるのは否めないのですが、それよりも何よりも遊んでいて適度に悩めて適度に楽しめるということがこんなに大事なんだなということに改めて気づかされたというか、ボードゲームというものの純粋な楽しみに触れることができたのは良かったです。コンポーネントの質も良く、こうした作品こそ後世に残っていくべきなんだろうなと思いました。


☆番外編:勝手に2人用ゲ-ム大賞☆

クラスク

クラスク今年度の勝手に2人用ゲーム大賞はこちらの作品です。もともと海外では5年以上前に発表されていた作品ですが、いろいろとコンポーネントが改良されて、昨年くらいから完成形と呼べるべきものが出てきました。分かりやすくいえば『卓上ホッケー』なんですが、磁石を用いたそのギミックとプレイの難しさ、そして熟練度が上がるにつれてそれが如実に勝ち負けにつながってくる面白さは特筆のものがあり、大人はもちろん特に子供に遊ばせると喜ばれる作品といえるでしょう。こういったアクション系の作品はなかなか良質の作品に恵まれないのですが、こちらは久々に出てきた近い将来間違いなく名作になるであろう作品の1つといえるでしょう。


☆番外編その2:勝手によくぞ日本語化してくれたで賞☆

イーオンズエンド

I-RONNZUENNDO.jpg続いて勝手によくぞ日本語化してくれたで賞はこちら。対戦協力型カードゲームの傑作『イーオンズエンド』です。元々海外での評価が非常に高かったのですが言語依存が非常に高かったのと、ほぼ全てのコンポーネントの日本語化が必要ということで日本語版の流通が遅れに遅れていましたが、今年ようやく完全日本語版が正式に流通。もう本当に待っていて良かった!よくぞ日本語化してくれました!と感謝したいその内容は、システムもカードバランスも難易度の設定も素晴らしく良くできていて予想以上に素晴らしい仕上がりでした。仮に本来のランキングで検討したとしても、相当上位に食い込む作品だったと思います。メチャクチャおもろいです。


☆番外編その3:勝手に国産ゲーム大賞☆

天下鳴動

天下鳴動番外編の最後は久々に(本当に久々ですね5年ぶりくらいでしょうか^^;)国産ゲームの良作の紹介です。こちらの作品に関してはシステムの切れ味が鋭いというか、非常にシンプルな要素の集合体で作品の面白さを見事に表現しているといういわゆる引き算の美学にとても感心させられました。失礼を承知で申し上げればこうした作品を連続して作り上げることはおそらく難しい(←ある意味名作の条件)のではないでしょうか。それくらいデザイナーの方自身も含め奇跡的にすべてがまとまった作品だったのではと推察してます。こうしたシンプルかつ美しい作品が世界的に評価される時代はもう目の前まで来ていると思います。ありがとうございました。