皆さんあけましておめでとうございます。
今年も皆様にとりまして、素晴らしいボードゲームライフでありますように。
さて、本日は新年の戯言というタイトルのもと、「ボードゲームの現在に思うこと」というサブタイトルのとおり、2014年今現在の日本のボードゲーム界に対する私自身の考え方を、少しお話させていただきたいと思います。
基本戯言ですから、真剣にとらえたりしてもらうことが目的ではないのですが、今後のNBGCの活動ならびにスタイルに少なからず影響を及ぼすと思いますので(たぶん)、なんていうんでしょうか、まぁ予防線のようなものです^^;
-ボードゲームブームの到来について
なんか凄いですね。ブーム到来のようですよ。実感は全然ないですけど(爆)、確かに新春の田舎の地元新聞にもデカデカと「ボードゲームブームが到来!」みたいな記事が載ってましたからね。そこで紹介されているゲームに関してはまぁ例によってアレな作品がほとんどですが(笑)、まぁ素直に嬉しいですね。
たとえそれが「人狼ブーム」であろうがなんであろうが、アナログなゲームにスポットが当たりつつあるのは、これは本当に嬉しいです。以前「布教に関する奇妙な違和感」というコラムで、「アナログゲームを布教するのとドイツゲームを布教するのとは違う」と指摘しましたが、その気持ちは今も変わらないまでも、「ゲーム」というレクリエーションツールに対して、世間様の許容度合いが増えてきたという点に関しては、ブームの到来は実にありがたいと感じます。
問題はこのブームがどれだけ続くのか、またブームはいずれ去るものですから、去った後に一体何が残るのかでしょうね。
長年この趣味に関わっている身としては、このブームといった現象に関してそれほど多くの期待はしてません。少しだけ愛好者が増えて、少しだけ市場が大きくなっていればそれで良いのかなと。爆発的な大ブームなんかは逆に望んでません(理由は後述)。あまりにも嵐が大きすぎると、通り過ぎた後の爪痕が大きすぎるので><
-日本のデザイナについて
昨今の同人ブーム。日本人のアナログゲームデザイナの力は今や世界基準ともいえるでしょう。特にカードゲームに関しては相当レベルが高いです。今後も海外の一流メーカに拾われていく機会は増えていくんじゃないかと予想してます。その道を切り開いたフロンティア精神あふれる人たちには心底敬意を表する次第です。
その一方で、ボードゲームデザイナが極端に少ないことは残念です(あっても有名作品の2番煎じ的なものが多かったり)。これは単純に芳醇な才能を拾い上げるシステムがまだ日本では確立していないということと、ボードの場合コストがかなりかかることが要因でしょう。カードゲームの方が簡単に作りやすくチャレンジしやすいというメリットはメチャメチャ大きいのだと思います。
才能はもうね。間違いないですよ。かなり意欲的なシステムを搭載した作品もありますし(稀ですけど^^;)、あとはそれを「国産ゲーム」として売り出すか、「ドイツゲーム」として売り出すかの違いだけで、制作ルートの問題な気もしますが、アートワーク等も含めて「極めてドイツ的」に売り出す方向にシフトして欲しいなぁというのが個人的な希望です。
-日本のショップについて
最近の流通の速度はとんでもないですね。エッセンの新作でもその年の内に国内で流通したりとか、ホントありがたい話です。私はたまに個人輸入もしますけど、できるなら国内のショップを利用したい派です。色々な面でサポートを受けられるという安心感が大きいです。
あと、日本語化の問題。なんか最近は人気作はすぐに日本語化されますね^^;制作の時間とか考えると、日本語化の権利購入はもうほとんど本作リリースと同時なのではないでしょうか?ショップとしてはそれだけ早い段階での情報の入手と選球眼が求められる時代になったんでしょうね。
個人的には舶来嗜好も全くないわけではないので、「言語依存のあまり無い作品の日本語化」には反対ですけど、作品の安定供給という面からは今後もこの流れは歓迎です(勝手だなオイ^^;)。
関係ないですけど、私の知人が言うには、どんな趣味でも偉い奴ってのは、どれだけ知識があるかじゃなくて、どれだけその趣味に金を使ったかなんだそうですが、この意見には私も同意です。
やっぱね、最終的にはお金をたくさん落とした人が偉いわけですよ(笑)。
私もトータルでいえば軽く新車が買えるくらいこの趣味にはお金を落としてますけど(爆)、最近はめっきり減りましたね。年間で6ケタは間違いなくいってますけど、7ケタは超えてません。エッセンくんだりまで出向いたりすれば7ケタいくのかなぁ~?
-名作の復刻について
ここ数年特に旧作の中でも名作と言われる作品の復刻が進んできているように感じます。ある意味面白さは保証されているので、お店としても「(権利を購入して)名作を売り出す」というのは、ある意味「間違いない内容だとわかっていて売り出す」わけですから、商売的にも魅力があるのは理解できます。
ただしその一方で、個人的には単なるそういった商売上のメリットだけで動いているのではないというロマンチックな期待もあります。「あの名作を埋もれさせてはいけない!」、「絶版のままプレイ機会が失われているのはもったいない!」というある種の使命感みたいなものがどこかに感じられるのは、やはり自分が過去のその名作に触れて、少なからぬ感動を得たからに違いありません。
長らく絶版だったりして入手の機会を得られなかった、あるいは復刻によって初めてプレイする機会を得たという人が増えれば、ボードゲームという趣味の魅力も増すというものです。ちなみに、そのほとんどを既に入手している身としては、残念ながらそういった「恩恵」はあまり受けれてはいないのですが(笑)、名作と呼ばれるような作品に再度スポットが当たるだけでも嬉しいので、この流れはどんどん続いていってくれたら良いですね。
ちなみに復刻は多くが小品(特にカードゲーム等)が多いのですが、これはやはりコストの問題でしょうか。徐々に大箱の割合も増えてきているので、この流れは大切にしていただきたいです。
それと、もしあなたが興味ある作品で未所有だったならば、復刻=即買いは基本です。またいつ絶版になるかわかりませんからw
-ドイツゲームという文化について
ブームの到来に関して、今一度この問題に触れる必要はあるのかなと。黒船来航(『カタンの開拓者』の日本語版発売)から約20年。「ドイツゲーム」という文化は日本にそれなりに上手く溶け込み、また同時に日本流の「アナログゲーム」として消化されていったのだと思います。その辺の詳しい歴史みたいなものは私よりもさらに上のマニア様が詳しく研究してくれると思いますけど、ようは文化というものはその国々で当然のように変化するわけで、日本流の「アナログゲーム」という姿が形成されつつある現在(いま)は、これは当然洗練されたあとの形であり、まさにマジョリティなんですよね。
また本国のドイツであっても、当然にスタイルはどんどんと変化しているわけで、世界的な視点から見ても、日本なりの消化の仕方が必ずしも特異なものであったとは言えない部分も多いと感じます(この辺は有名な賞に選ばれたりノミネートをされたりしている作品の流れから推察できるかもしれません)。
一方で、まだそれでも「ドイツゲーム」という源流を愛し、そこを楽しむという人も少なからず存在しているのも事実だと思います。いまだに魅力的な作品はリリースされますし、世界的に愛好家も多いですし、(マニアの間で)評価もきちんとされてます。
しかし、サークルを運営する身としては、これは難しい問題でもあるんですよね。従来のコアな「ドイツゲーム」ファンと、洗練された日本流の「アナログゲーム」ファンに対しては、自ずと準備する(提供すべき)作品が異なってきてしまいます。
今現在は恐らく多くのゲームサークルで「同時並行型」が主流なのでしょうけど、近い将来、その辺は大きな舵取りが求められるような気がしてなりません。そして「アナログゲーム」から「シミュレーションゲーム」が切り離されていったように、「ドイツゲーム」もそろそろ1つの独立したジャンルとして切り離されていく時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
-新作と旧作(名作)について
これ、最近の一番の悩みです。
昨年あたりから、仕事とプライベートが極端に忙しくなって、ボードゲームを遊ぶ機会を得るのに非常に苦労してます。オープンな例会よりもプライベートのゲーム会の割合が極端に増え、同時に卓を囲む面子も段々と固定化されつつあります。
その結果どうなったかというと、新作よりも旧作(名作)を遊ぶ機会がメチャメチャ増えてきました。
その理由は
単純に旧作の面白さが安定しているからです。
正直新作は当たり外れが大きいと思います。楽しいセッションもあれば、つまらないセッションもある。この趣味にかかわってきた歴史が長ければ長いほど、(目が肥えて=過去の名作の面白さと比較して)面白い作品に出逢う確率も減りますし、なにより貴重な時間を無駄にしてしまいます(どんな作品であっても基本楽しい時間を仲間と共有するのですから必ずしも無駄ではないんですけどね^^;)。
もちろんつまらない作品を遊んでこそ、(たまに出会う)面白い作品の魅力が分かるという部分はあると思いますし、多くの作品に触れてこそ、自分好みの作品に出逢えるんだという部分も理解できます。でもわざわざそのコントラストを生むために、貴重なプレイ機会を1つ消費するのは非常にもったいなく感じるようになってきました。
私は自分が気に入った作品はほとんど手放しませんので、この十数年間で所有数も相当増えました。既に目の前に宝の山が存在している状態なわけです。またどの作品がどれほど面白いのかも既に「知ってます」。この「知っている」という部分がとても大きく、ついつい「死ぬまでにもう一度あの名店の味を…」的な思考になってしまうわけです(爆)。
たまに親しいボドゲ仲間に言うんですよ。
私「(ゲーム棚を眺めて)今までさ、これだけの作品を遊んできたわけだから、もう1順するのはかなり大変だよね。もう明日から新作とか一切出なくても良いよなぁ」
仲間「それは困る!」
やっぱ新作の魅力は不変なんでしょうかw
-ボードゲームという趣味の楽しさについて
この趣味の楽しさってなんですか?って聞かれると、結構多くの人が「色んな人と楽しめることかな」って答えると思うんですけど、これって少し違う気がするんですよね。
「色んな人と楽しめる」とか、「出逢いがある」みたいな部分は、この趣味を続ける上での「良さ」ではもちろんあるかもしれませんけど、純粋な「楽しさ」ではないと思うんです。
やはりこの趣味の純粋な楽しみは「素晴らしい作品に巡り会える」ことでしょう。
世の中にこんなに面白いものが存在していたんだという驚き、感動、それこそが私達を突き動かす原動力なわけで、ある意味そこに家族とか、友人とかいったものは関係ありません。そりゃ最終的に自分の周りの人とそういう感動を共有したいって気持ちにはなるでしょうし、そこを「目的」にすることに関しては全く異論はありませんけど、根本となる部分はその多くを「作品に依存している」と私は思うんです。
昨今の新作の発売ペースや、それに伴う過去の作品の蓄積をかんがみるに、もうこのジャンル的には飽和状態にあるといっても過言ではありません。その中で、どれほどこの趣味の「楽しさ」を追求できるかといえば、それはもう個人個人の選択にゆだねる以外ないでしょう。
「できうる限り素晴らしい作品に巡り会って欲しい」。心からそう思いますけど、実際には難しいですね。個人個人で好みも違えば環境も違いますから、作品を提供する側としては自ずと限界があります。厳しい意見を言うようですが、今一つこの趣味が爆発的にブームにはならないのは、その辺の難しさが一番の要因ではないかと思うんです。つまり作品を提供する側でお客が100%満足する作品を提供できていないというわけです。
個人的な感覚でいえば、私自身は自分で作品を「選んで」購入し、また遊んできたので、その部分での「楽しさ」の打率は8割を超えているという自負があります。がその一方でゲーム会などのオープンな場だとその打率は5割を切っている気がします。自分が主催するサークルのお客さんがどれだけ満足しているかも、想像ですけど5割以下な気がします(やはりどうしても私とは皆さん好みが違うので><)。
ただ、それでもゲーム会が楽しいのは、たとえ5割を切ったとしても魅力的な作品と出会える可能性が少しはあるわけですし、やはり同好の士と会って楽しむという魅力があるからなんでしょうけど、よく言われるのは「クローズの例会の面白さは格別だね」という言葉です。やはりそれだけ親しいゲーム仲間ということでお互いに好みも知ってるし、準備する作品の性質がそもそも違うからでしょうか、もちろん中には実験的な作品や新作など評価が不確定なものもありますけど、まぁ好み(楽しさ)を大きく外すのはレアケースです。
ですから、私自身も振り返ってみると過去のクローズのゲーム会が一番面白かったなぁと感じます。もう毎回毎回面白い作品と巡り会いそれを消化していくのは、まさに大航海時代の新大陸を発見する喜びに似た感動を毎回味わい続けたようなもので、ある種の麻薬的な魅力がそこに存在していたように思います。いわゆるボドゲジャンキーだったわけですね^^;
逆に今現在はというと、もうこれはRPG的に言うとたぶんレベル99で上限に達した感じなんですよね。別に極めたとか偉そうなことをいうつもりではなく、必死でレベルを上げてた楽しい時期は過ぎ去ってしまったというか、全てのダンジョンを探検しつくしたというか、この趣味の最高に楽しい時期はもう通り過ぎたという実感があります。
かといって今のこの状況を悲観しているわけではなく、前述のとおり「宝は既に手に入れた」わけで、心は比較的(かなり)平穏です(爆)。これから先は、やはりそれでもつきぬ欲望に従い(笑)、新しい宝物を見つける旅をしながらも、以前ほどそれにのめり込むことはなく、どちらかといえば過去の宝物をとことん愛で、またその宝物を見たことがない人がいたときは、自信を持って紹介するようなことが出来たら良いなぁと思ってます。
ということで、今後のNBGCの活動は、まずはこの趣味を続ける上での「楽しさ=良質の作品との出会い」の追及を第一とし、そのためには準備する作品のセレクトにより一層磨きをかけ、その上で時代の流れに付いていく(いかなければならない)部分と、ある種源流としてのドイツゲームの魅了にこだわる硬派さ(?)の部分とを上手く調整していけたらと思います。
新年早々長々としたコラムになってしまいましたが(過去最長ですかね?)、今年もどうぞNBGCをよろしくお願いします。byタカハシ
今年も皆様にとりまして、素晴らしいボードゲームライフでありますように。
さて、本日は新年の戯言というタイトルのもと、「ボードゲームの現在に思うこと」というサブタイトルのとおり、2014年今現在の日本のボードゲーム界に対する私自身の考え方を、少しお話させていただきたいと思います。
基本戯言ですから、真剣にとらえたりしてもらうことが目的ではないのですが、今後のNBGCの活動ならびにスタイルに少なからず影響を及ぼすと思いますので(たぶん)、なんていうんでしょうか、まぁ予防線のようなものです^^;
-ボードゲームブームの到来について
なんか凄いですね。ブーム到来のようですよ。実感は全然ないですけど(爆)、確かに新春の田舎の地元新聞にもデカデカと「ボードゲームブームが到来!」みたいな記事が載ってましたからね。そこで紹介されているゲームに関してはまぁ例によってアレな作品がほとんどですが(笑)、まぁ素直に嬉しいですね。
たとえそれが「人狼ブーム」であろうがなんであろうが、アナログなゲームにスポットが当たりつつあるのは、これは本当に嬉しいです。以前「布教に関する奇妙な違和感」というコラムで、「アナログゲームを布教するのとドイツゲームを布教するのとは違う」と指摘しましたが、その気持ちは今も変わらないまでも、「ゲーム」というレクリエーションツールに対して、世間様の許容度合いが増えてきたという点に関しては、ブームの到来は実にありがたいと感じます。
問題はこのブームがどれだけ続くのか、またブームはいずれ去るものですから、去った後に一体何が残るのかでしょうね。
長年この趣味に関わっている身としては、このブームといった現象に関してそれほど多くの期待はしてません。少しだけ愛好者が増えて、少しだけ市場が大きくなっていればそれで良いのかなと。爆発的な大ブームなんかは逆に望んでません(理由は後述)。あまりにも嵐が大きすぎると、通り過ぎた後の爪痕が大きすぎるので><
-日本のデザイナについて
昨今の同人ブーム。日本人のアナログゲームデザイナの力は今や世界基準ともいえるでしょう。特にカードゲームに関しては相当レベルが高いです。今後も海外の一流メーカに拾われていく機会は増えていくんじゃないかと予想してます。その道を切り開いたフロンティア精神あふれる人たちには心底敬意を表する次第です。
その一方で、ボードゲームデザイナが極端に少ないことは残念です(あっても有名作品の2番煎じ的なものが多かったり)。これは単純に芳醇な才能を拾い上げるシステムがまだ日本では確立していないということと、ボードの場合コストがかなりかかることが要因でしょう。カードゲームの方が簡単に作りやすくチャレンジしやすいというメリットはメチャメチャ大きいのだと思います。
才能はもうね。間違いないですよ。かなり意欲的なシステムを搭載した作品もありますし(稀ですけど^^;)、あとはそれを「国産ゲーム」として売り出すか、「ドイツゲーム」として売り出すかの違いだけで、制作ルートの問題な気もしますが、アートワーク等も含めて「極めてドイツ的」に売り出す方向にシフトして欲しいなぁというのが個人的な希望です。
-日本のショップについて
最近の流通の速度はとんでもないですね。エッセンの新作でもその年の内に国内で流通したりとか、ホントありがたい話です。私はたまに個人輸入もしますけど、できるなら国内のショップを利用したい派です。色々な面でサポートを受けられるという安心感が大きいです。
あと、日本語化の問題。なんか最近は人気作はすぐに日本語化されますね^^;制作の時間とか考えると、日本語化の権利購入はもうほとんど本作リリースと同時なのではないでしょうか?ショップとしてはそれだけ早い段階での情報の入手と選球眼が求められる時代になったんでしょうね。
個人的には舶来嗜好も全くないわけではないので、「言語依存のあまり無い作品の日本語化」には反対ですけど、作品の安定供給という面からは今後もこの流れは歓迎です(勝手だなオイ^^;)。
関係ないですけど、私の知人が言うには、どんな趣味でも偉い奴ってのは、どれだけ知識があるかじゃなくて、どれだけその趣味に金を使ったかなんだそうですが、この意見には私も同意です。
やっぱね、最終的にはお金をたくさん落とした人が偉いわけですよ(笑)。
私もトータルでいえば軽く新車が買えるくらいこの趣味にはお金を落としてますけど(爆)、最近はめっきり減りましたね。年間で6ケタは間違いなくいってますけど、7ケタは超えてません。エッセンくんだりまで出向いたりすれば7ケタいくのかなぁ~?
-名作の復刻について
ここ数年特に旧作の中でも名作と言われる作品の復刻が進んできているように感じます。ある意味面白さは保証されているので、お店としても「(権利を購入して)名作を売り出す」というのは、ある意味「間違いない内容だとわかっていて売り出す」わけですから、商売的にも魅力があるのは理解できます。
ただしその一方で、個人的には単なるそういった商売上のメリットだけで動いているのではないというロマンチックな期待もあります。「あの名作を埋もれさせてはいけない!」、「絶版のままプレイ機会が失われているのはもったいない!」というある種の使命感みたいなものがどこかに感じられるのは、やはり自分が過去のその名作に触れて、少なからぬ感動を得たからに違いありません。
長らく絶版だったりして入手の機会を得られなかった、あるいは復刻によって初めてプレイする機会を得たという人が増えれば、ボードゲームという趣味の魅力も増すというものです。ちなみに、そのほとんどを既に入手している身としては、残念ながらそういった「恩恵」はあまり受けれてはいないのですが(笑)、名作と呼ばれるような作品に再度スポットが当たるだけでも嬉しいので、この流れはどんどん続いていってくれたら良いですね。
ちなみに復刻は多くが小品(特にカードゲーム等)が多いのですが、これはやはりコストの問題でしょうか。徐々に大箱の割合も増えてきているので、この流れは大切にしていただきたいです。
それと、もしあなたが興味ある作品で未所有だったならば、復刻=即買いは基本です。またいつ絶版になるかわかりませんからw
-ドイツゲームという文化について
ブームの到来に関して、今一度この問題に触れる必要はあるのかなと。黒船来航(『カタンの開拓者』の日本語版発売)から約20年。「ドイツゲーム」という文化は日本にそれなりに上手く溶け込み、また同時に日本流の「アナログゲーム」として消化されていったのだと思います。その辺の詳しい歴史みたいなものは私よりもさらに上のマニア様が詳しく研究してくれると思いますけど、ようは文化というものはその国々で当然のように変化するわけで、日本流の「アナログゲーム」という姿が形成されつつある現在(いま)は、これは当然洗練されたあとの形であり、まさにマジョリティなんですよね。
また本国のドイツであっても、当然にスタイルはどんどんと変化しているわけで、世界的な視点から見ても、日本なりの消化の仕方が必ずしも特異なものであったとは言えない部分も多いと感じます(この辺は有名な賞に選ばれたりノミネートをされたりしている作品の流れから推察できるかもしれません)。
一方で、まだそれでも「ドイツゲーム」という源流を愛し、そこを楽しむという人も少なからず存在しているのも事実だと思います。いまだに魅力的な作品はリリースされますし、世界的に愛好家も多いですし、(マニアの間で)評価もきちんとされてます。
しかし、サークルを運営する身としては、これは難しい問題でもあるんですよね。従来のコアな「ドイツゲーム」ファンと、洗練された日本流の「アナログゲーム」ファンに対しては、自ずと準備する(提供すべき)作品が異なってきてしまいます。
今現在は恐らく多くのゲームサークルで「同時並行型」が主流なのでしょうけど、近い将来、その辺は大きな舵取りが求められるような気がしてなりません。そして「アナログゲーム」から「シミュレーションゲーム」が切り離されていったように、「ドイツゲーム」もそろそろ1つの独立したジャンルとして切り離されていく時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
-新作と旧作(名作)について
これ、最近の一番の悩みです。
昨年あたりから、仕事とプライベートが極端に忙しくなって、ボードゲームを遊ぶ機会を得るのに非常に苦労してます。オープンな例会よりもプライベートのゲーム会の割合が極端に増え、同時に卓を囲む面子も段々と固定化されつつあります。
その結果どうなったかというと、新作よりも旧作(名作)を遊ぶ機会がメチャメチャ増えてきました。
その理由は
単純に旧作の面白さが安定しているからです。
正直新作は当たり外れが大きいと思います。楽しいセッションもあれば、つまらないセッションもある。この趣味にかかわってきた歴史が長ければ長いほど、(目が肥えて=過去の名作の面白さと比較して)面白い作品に出逢う確率も減りますし、なにより貴重な時間を無駄にしてしまいます(どんな作品であっても基本楽しい時間を仲間と共有するのですから必ずしも無駄ではないんですけどね^^;)。
もちろんつまらない作品を遊んでこそ、(たまに出会う)面白い作品の魅力が分かるという部分はあると思いますし、多くの作品に触れてこそ、自分好みの作品に出逢えるんだという部分も理解できます。でもわざわざそのコントラストを生むために、貴重なプレイ機会を1つ消費するのは非常にもったいなく感じるようになってきました。
私は自分が気に入った作品はほとんど手放しませんので、この十数年間で所有数も相当増えました。既に目の前に宝の山が存在している状態なわけです。またどの作品がどれほど面白いのかも既に「知ってます」。この「知っている」という部分がとても大きく、ついつい「死ぬまでにもう一度あの名店の味を…」的な思考になってしまうわけです(爆)。
たまに親しいボドゲ仲間に言うんですよ。
私「(ゲーム棚を眺めて)今までさ、これだけの作品を遊んできたわけだから、もう1順するのはかなり大変だよね。もう明日から新作とか一切出なくても良いよなぁ」
仲間「それは困る!」
やっぱ新作の魅力は不変なんでしょうかw
-ボードゲームという趣味の楽しさについて
この趣味の楽しさってなんですか?って聞かれると、結構多くの人が「色んな人と楽しめることかな」って答えると思うんですけど、これって少し違う気がするんですよね。
「色んな人と楽しめる」とか、「出逢いがある」みたいな部分は、この趣味を続ける上での「良さ」ではもちろんあるかもしれませんけど、純粋な「楽しさ」ではないと思うんです。
やはりこの趣味の純粋な楽しみは「素晴らしい作品に巡り会える」ことでしょう。
世の中にこんなに面白いものが存在していたんだという驚き、感動、それこそが私達を突き動かす原動力なわけで、ある意味そこに家族とか、友人とかいったものは関係ありません。そりゃ最終的に自分の周りの人とそういう感動を共有したいって気持ちにはなるでしょうし、そこを「目的」にすることに関しては全く異論はありませんけど、根本となる部分はその多くを「作品に依存している」と私は思うんです。
昨今の新作の発売ペースや、それに伴う過去の作品の蓄積をかんがみるに、もうこのジャンル的には飽和状態にあるといっても過言ではありません。その中で、どれほどこの趣味の「楽しさ」を追求できるかといえば、それはもう個人個人の選択にゆだねる以外ないでしょう。
「できうる限り素晴らしい作品に巡り会って欲しい」。心からそう思いますけど、実際には難しいですね。個人個人で好みも違えば環境も違いますから、作品を提供する側としては自ずと限界があります。厳しい意見を言うようですが、今一つこの趣味が爆発的にブームにはならないのは、その辺の難しさが一番の要因ではないかと思うんです。つまり作品を提供する側でお客が100%満足する作品を提供できていないというわけです。
個人的な感覚でいえば、私自身は自分で作品を「選んで」購入し、また遊んできたので、その部分での「楽しさ」の打率は8割を超えているという自負があります。がその一方でゲーム会などのオープンな場だとその打率は5割を切っている気がします。自分が主催するサークルのお客さんがどれだけ満足しているかも、想像ですけど5割以下な気がします(やはりどうしても私とは皆さん好みが違うので><)。
ただ、それでもゲーム会が楽しいのは、たとえ5割を切ったとしても魅力的な作品と出会える可能性が少しはあるわけですし、やはり同好の士と会って楽しむという魅力があるからなんでしょうけど、よく言われるのは「クローズの例会の面白さは格別だね」という言葉です。やはりそれだけ親しいゲーム仲間ということでお互いに好みも知ってるし、準備する作品の性質がそもそも違うからでしょうか、もちろん中には実験的な作品や新作など評価が不確定なものもありますけど、まぁ好み(楽しさ)を大きく外すのはレアケースです。
ですから、私自身も振り返ってみると過去のクローズのゲーム会が一番面白かったなぁと感じます。もう毎回毎回面白い作品と巡り会いそれを消化していくのは、まさに大航海時代の新大陸を発見する喜びに似た感動を毎回味わい続けたようなもので、ある種の麻薬的な魅力がそこに存在していたように思います。いわゆるボドゲジャンキーだったわけですね^^;
逆に今現在はというと、もうこれはRPG的に言うとたぶんレベル99で上限に達した感じなんですよね。別に極めたとか偉そうなことをいうつもりではなく、必死でレベルを上げてた楽しい時期は過ぎ去ってしまったというか、全てのダンジョンを探検しつくしたというか、この趣味の最高に楽しい時期はもう通り過ぎたという実感があります。
かといって今のこの状況を悲観しているわけではなく、前述のとおり「宝は既に手に入れた」わけで、心は比較的(かなり)平穏です(爆)。これから先は、やはりそれでもつきぬ欲望に従い(笑)、新しい宝物を見つける旅をしながらも、以前ほどそれにのめり込むことはなく、どちらかといえば過去の宝物をとことん愛で、またその宝物を見たことがない人がいたときは、自信を持って紹介するようなことが出来たら良いなぁと思ってます。
ということで、今後のNBGCの活動は、まずはこの趣味を続ける上での「楽しさ=良質の作品との出会い」の追及を第一とし、そのためには準備する作品のセレクトにより一層磨きをかけ、その上で時代の流れに付いていく(いかなければならない)部分と、ある種源流としてのドイツゲームの魅了にこだわる硬派さ(?)の部分とを上手く調整していけたらと思います。
新年早々長々としたコラムになってしまいましたが(過去最長ですかね?)、今年もどうぞNBGCをよろしくお願いします。byタカハシ